看護師を目指したきっかけ

優しい看護婦さん

2014.01.08
看護師 滋賀県在住 41歳

看護師を目指したきっかけ、というよりも看護観ともいえるだろうし、これからのやりがいともいえるだろう。  私が看護師を目指したきっかけは、3歳か、4歳の頃先日なくなった祖母の家に行った時の事、車から降り道を渡った所に運悪く車が走ってきた。接触したのか、転んだ拍子だったのか今ではハッキリしないが、その時、骨折。恐らく脛腓骨骨折だったのだろう。

入院し牽引をして治療。ギプスになり、よくナースステーションに遊びに行っていた。私の記憶にナースステーションのテーブルに座り看護師さんに囲まれながら絵を書いていたり話をしている姿を覚えている。その時「大きくなったら看護婦さんになる」と言っていた事を思い出す。 そして退院した。小学二年生になり『将来の夢』を聞かれ看護婦さんと答えた。それ以降『将来の夢』をきかれると看護婦さんと答え続けて、現在看護師をしている。なぜ、看護婦さんになると言ったのかは覚えていないが、きっとその時看護婦さんの優しさに触れこんな人になりたいと思ったのだろう。

高校を卒業し、看護学校に入学。二年生になり、母の肺癌を発症。入院し手術。その後もコバルト療法や、転移もあり入退院を繰り返し、私の国家試験の合格を知る前に他界した。この時私を支えてくれたのは患者さんだった。「私をお母さんだと思ってね」と手紙をくれた人。くだらない話をずっと聞いてくれた人もいた。私は患者さんたちに育ててもらったと思っている。辛い時も嬉しい時もすぐそばに患者さんがいた。 だから私は看護師を続けているし、これからも続けて行く。私を育ててくれた、患者さん達に私は何をしてこれただろう。 また、何を返して行けばいいのだろう。

今40歳を迎え、老人ホームに勤めている。私は、私の関わる人が幸せな最期の時を迎えられるお手伝いができたらと思っている。病院で最期の時を迎えるのではなく、生活の場として老人ホームがありそこで最期のを迎える方も自宅ではないがながく関わることの出来る老人ホームでその人がその人らしく最期の時を迎えられるお手伝いができたらと思いながら日々看護している。

生活の場での看護は介護士が中心であるが、その中その方一人一人の本当の思いを日々の生活の中から見つけていければと思っている。  その人が本当に望むもの。それが見つけることが私のやりがいになっていくことになるだろう。私も、今あの時の優しい看護婦さんになれているだろうか?
このエントリーをはてなブックマークに追加