看護師としてのやりがい

『ありがとう』

2014.01.08
看護師 東京都在住 34歳

私は緩和ケア病棟で働いており、癌による苦痛症状で悩まされている患者さんや、迫り来る『死』という現実と向き合い思い悩む患者さんと多く接しています。医師や私たち看護師、その他患者さんを取り巻く全ての医療スタッフと、患者さんが置かれている状況を充分に話し合い、症状を和らげる方策を考えた結果、患者さんに穏やかな笑顔が見られるようになった時、その穏やかな笑顔を引き出せるようになるまで繰り返し話し合いを重ねて方策を考えていく、そんな瞬間に、私はこの仕事にやりがいを感じています。

また、ターミナル期の患者さんが身体や心の辛さを切に訴えている時、何気ない会話をしている中で引き出されてきた患者さんの切なる思いに触れた時、そこで自分がどうその患者さんと向き合えるのか、その気持ちにどう寄り添っていくのかを考え、行動に移していく事が出来る事も、仕事をしていてやりがいを感じる瞬間だと思っています。

その自分がとった行動から得られる患者さんからのレスポンスは、私自身に看護師としてだけではなく、人として考えるキッカケを与えてくれる事が多く、人としても成長する事が出来るとても素敵な経験になります。そして、辛さから少しでも解放された時や旅立っていかれる前や後に、患者さんやその方を支える家族から『ありがとう』『あなたがいてくれて良かった』『あなたが担当してくれると安心する』といった言葉を頂けた時は、どんなに仕事がハードでも、『頑張って良かった!!また頑張ろう!!』って、自分自身奮い立つような気持ちにもなる事が出来ますし、自分がそれまでに提供してきたケアや患者さんの為に考えてきた事が実を結んだのかもしれないと思う事が出来、心地よい達成感を得る事も出来ます。

気付いたら、この仕事を始めて早14年…。それまでに、今いる緩和ケアの分野以外にも様々な診療科を経験してきました。色々な患者さん、その患者さんを支えるご家族と出会い、いろんな気持ちになりながら看護を続けてきましたが、上に挙げたような気持ちになれた場面は、何年経っても、自分の中で忘れ得ぬ経験として心に刻まれています。

14年間の中では、決していい経験ばかりではない事もありましたが、上に挙げたような素敵な経験が出来、看護師としてのやりがいを感じながら今日まで仕事を続けられている事は、とても幸せな事だと自分自身思っていますし、頑張って続けてきて良かったと思っています。それを糧に、また明日からも看護師という仕事を頑張っていこうと考えています。
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