看護師としてのやりがい

訪問看護

2014.01.08
看護師 福岡県在住 40歳

今から12年前、ある病院で訪問看護に配属され、始めは、私にできるのだろうかと不安でたまりませんでした。訪問看護は、病院の外来や、病棟での看護と違い、患者さんの生活の場所にお邪魔して、看護を行っていきます。病院では、物品が揃いスムーズに援助ができるのに、訪問先では物がないことも多く、あるもので援助したりと手間がかかることも多々あります。 そんな調子なので、訪問新人の私は、先輩ナースよりも時間がかかってしまい、ご迷惑をおかけすることもありました。でも、患者さんや、ご家族の方、みなさん励ましてくださり、徐々に仕事にも慣れていけました。   高齢で、2人暮らしをしているご夫婦、全盲で1人暮らしの患者さん・・・。とくに高齢で、お子さんもおられなかったご夫婦は、今でも忘れられません。 始めは、奥様の看護から行き始めたのですが、ご主人も、癌が見つかり、お二人の看護になりました。奥様が、あまりもたないのがわかっていたため、ご主人も入院を拒まれ、在宅で静かに過ごされていました。

いつも、私が行くと、私の子どもの話に笑顔を見せられ、いつか会ってみたいと言われたりして、私もお2人に元気をもらいました。その後、奥様の看取りをし、ご主人が残されました。いつもずっと、そばにおられた奥様が天に召され、ご主人のことがすごく心配になりました。病気もあるので、入院を勧めましたが、奥様と離れたくないと・・・。ひき続き、訪問に伺って、奥様の思い出話をしたりしました。奥様の一周忌が終わって、しばらくしてご主人も旅立っていかれました。ほんと不思議な話なのですが、このご夫婦、お互いの誕生日に亡くなられていたんです。

お二人が亡くなられた後、この2人が書かれたお手紙を親戚の方にいただきました。私の訪問が楽しかったこと、色々お手伝いしてくれてありがとう、と。 私は このご夫婦の絆を知り、あと訪問の楽しさ、やりがいをもらった気がします。それから、家の事情でその病院を退職しました。3年ほど仕事から離れていましたが、また、看護がしたい、でも動けるかなと不安だらけでした。 子育てしながら復帰し、3年目に入りました。今、糖尿病外来で、来年の療養指導士の試験を受けるために勉強中です。   今の仕事では、コントロールに苦しむ患者さんが多く、訪問で培った会話を大事にしています。 何か少しでもすっきりして帰宅していただけたらいいなと思っています。私は、左耳が難聴なので、いつまで仕事ができるかわかりませんが、できる限り看護の仕事をし、患者さん、ご家族の助けになりたいです。
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